EX'S



☆柳沼江梨子さんからの報告(3)

チュニジアから研修生が来日ました No3

専門研修が始まりました

柳沼 江梨子

 9月というのに暑い日が続き、ザッキーアは「日本も暑い」と何度も繰り返します。「ハメムみたい。」という彼女に「そうでしょだからチュニジアにいる時に言ったじゃない。」と言うと、「今やっと分かった。」と言います。

ハメム(ハマム)とはアラブ圏にある湯船の無い銭湯の様なもので、サウナと似ています。チュニジア人はそこで垢すりを使って体を洗い流します。家のお風呂よりハメムを使う人のほうが多いかもしれません。日本の暑さには湿度がつきもの。からっとした灼熱の暑さはあっても、このジメッとしていて居るだけでどんどん体力を奪われていくような暑さはチュニジアにはないからです。

アパートでの1人暮らしも軌道に乗り始め、養護教育センターでの研修もどんどん専門的なものになって行きました。心理検査の実際・障がい別の障がい理解・各特別支援学校の訪問・養護学校から特別支援学校になった経緯・自閉症教育講座・授業力アップ講座などです。

心理検査や特別支援学校の教育システム、発達障害については少々混乱していたようでした。指導頂いた先生からは、今後予定されている特別支援学校での研修の中で、徐々に理解を深めていくと良いでしょうとアドバイスを受けました。

知的特別支援学校と肢体不自由特別支援学校へは今後34週間ずつ研修に行く予定が組まれているのですが、その他の特別支援学校へは見学として訪問をして来ました。

聾学校では、「どこから来たの?」「時間はどのくらいかかるの?」と質問攻めに遭い、彼らのコミュニケーション能力の高さに圧倒されたようでした。「生徒たちは、聞こえる子どもたちとなんら変わりがないような授業を受けていた。」ととても驚いていました。

彼女の住むカセリンでは聴覚障害の子どもたちは口の動きをなんとなく読み取るか、彼ら独自のジェスチャーで、なんとか会話を成立させています。しかし、それは少し地域を離れると通じなくなってしまいますし、補聴器も高嶺の花でなかなか買えないのが現状です。たとえ買ったとしてもその後のアフターケアが十分ではなく、合わないものをしていたり、すぐに壊してしまったりするのが殆どでした。

 授業は彼らの能力にあったものとは言い難く、レベルのとても低い授業が中心です。言語の獲得が曖昧なまま、授業も教師と生徒の会話が成立していないままに、生徒は荒れ放題でした。きっとそんな教育現場を見ていたから、彼女は日本の聾教育がなんとも整然としていて不思議に見えたのだと思います。

913日からはイスラム教徒の最大のイベント『ラマダン』が始まります。これはイスラム教徒が大切にしている神からの教え「クルアーン」が下された時とされ、1ヶ月間このクルアーンを熱心に勉強し、断食をします。断食と言っても日の出から日没までで、日没後は飲食をします。

彼女は初めて家族と離れて一人でのラマダンを迎えました。

ラマダン中も研修はあるので、研修中お昼ご飯を食べることが出来ません。センターの職員の皆さんは「ザッキーアの前で自分たちだけが食べるのは・・・」ととてもお気を使われたようでした。しかし、ザッキーアは、「大丈夫。私は慣れているから。」と。他宗教が共存している国では当たり前かもしれませんが、日本ではなかなか無い場面かもしれません。

彼女が言うには、日本の皆さんが自分の宗教を尊重してくれるので、もしかしたらチュニジアにいるときよりも、日本に居る時の方がお祈りがし易い環境にあるかもしれないと言っていました。

9月の末には日本のお彼岸がやって来ました。日本のお祭り(?)と聞かされていた彼女は、どんなものか楽しみにしていたようでした。

郡山では地域によっても違いはありますが、じんだ(ずんだ)のぼた餅を作り、お墓にお供えします。そこで、ザッキーアも枝豆をはじいて潰して、すり鉢で擂ってとじんだ作りにチャレンジしました。

早朝起きて、お花を束ねてお墓参りも体験してきました。「亡くなった先祖をとても大事にするのだね。」と感心している様子でした。



(16−2 養護 柳沼 江梨子)